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再配達問題の原因と解決策。再配達の有料化は効果があるのか

運送業界には、「荷物の再配達問題」という避けては通れない問題があります。

再配達問題は、EC拡大やライフスタイルの多様化など、さまざまな原因が絡み合っています。また、再配達問題を解決するために、再配達の有料化も検討されていますが、まだまだ懸念点があるのも事実です。

本記事では、再配達問題の概要や原因をはじめ、再配達問題の解決策について解説します。

目次

再配達問題とは

まず「再配達」とは、荷物の受け取り主が不在だった場合に、指定の日時にあらためて配達することです。

近年は、スマートフォンやインターネットが普及したことで、ECサイトの利用者が増加しました。それに伴い宅配便が取りあつかう荷物量も急増し、再配達が必要な荷物の数も増えています。

以前から再配達への対応は軽貨物ドライバーが抱える悩みひとつでしたが、昔と比べてどのような変化があるのでしょうか。

ここからは、「再配達の件数」や「再配達率の推移」に焦点をあてて、再配達問題について解説します。

再配達の件数

国土交通省の「宅配便再配達実態調査」によると、宅配便で取りあつかう再配達の件数は、2022年4月1日〜30日の間で「309,530件」だったことが明らかとなりました。

再配達の件数
出典:国土交通省「宅配便再配達実態調査

エリアごとの再配達件数は「都市部近郊」が169,606件と最も多く、次いで「都市部」が125,278件、「地方」が14,646件という結果です。

件数だけ見ると「都市部近郊」が最多ですが、再配達率という視点で見ると「都市部」が最も高い結果となっています。

いずれにしても、全体の件数のうちおよそ1割が再配達となっていることがわかります。

再配達率の推移

次は、これまでの再配達率の推移を確認していきましょう。

国土交通省の「宅配便再配達実態調査」の調査結果を参考にすると、2017年(平成29年)10月から2022年(令和4年)4月のおよそ5年間で、再配達率は「3.8%」減少しています

再配達件数の推移
出典:国土交通省「宅配便再配達実態

2020年(令和2年)4月では、新型コロナウイルス感染症拡大での緊急事態宣言の影響で、在宅時間が増えたことから大きく減少しています。

しかし、2020年(令和2年)10月以降からは、ほぼ横ばいとなっています。

再配達問題は社会問題化している

再配達件数や再配達率の推移からわかるように、再配達問題を解決する突破口は未だ見えていないのが現状です。

後述しますが、再配達件数の増加は、荷物を運搬するドライバーに負担がかかるだけではなく、CO2排出量の増加などの懸念があります。

人々の生活を支える物流にも大きな影響を与えることから、2015年以降から国土交通省でも、再配達問題に関する検討会を実施するようになりました。

また、メディアや新聞でも盛んに取り扱うようになり、大きな社会問題にまで発展しているのです。

再配達問題の原因

再配達問題が発生する原因は、以下の4つが考えられます。

  • 原因1 ECの拡大
  • 原因2 多種多様なライフスタイル
  • 原因3 配達があることを認知していない
  • 原因4 気軽に再配達依頼できる

それでは、各項目について解説します。

原因1 ECの拡大

インターネットとスマートフォンが普及したことから、EC市場(電子商取引)の需要は増加しています。

Amazonや楽天市場を中心に、自宅でも外出先でも24時間365日いつでも買い物ができるのが当たり前の時代です。今やインターネットショッピングは、日常生活になくてはならない存在ともいえます。

通販サイトなどを通じて購入された荷物が増えると、それに比例して荷物の配送量も増えます。そして、配送量の増加に伴い、再配達が必要となる荷物量も増加しているのです。

原因2 多種多様なライフスタイル

現代の日本社会では、働き方や働く時間帯も業種や人によってさまざまです。

残業だったり夫婦共働きだったりなど、社会人の多くが配達時間帯に留守であるケースも多くみられます

しかし、荷物を運ぶ配達員側は、届け先の方がどのようなライフスタイルを送っているのかなどを把握できません。

このように人々のライフスタイルの多様化が影響し、荷物がうまく受け取れずに再配達が増えている、という背景もあります。

原因3 配達があることを認知していない

受け取り主側が、そもそも「荷物の配達があることをわかっていない」ケースも多々あります。

例えば、取り寄せ商品やふるさと納税の返礼品など、受け取り主側が具体的な日時を事前に把握するのが難しい場合もあります。

しかし、自ら注文したにも関わらず、忘れてしまっていたというケースもゼロではありません。これに関しては、受け取り主側が「配達物がある」という意識を持つことで、解決できる可能性が十分あります。

原因4 気軽に再配達依頼できる

インターネット・アプリ・電話を使えば、再配達の依頼が無料で何度もできてしまうという手軽さも、原因のひとつとして挙げられます

簡単かつ無料で再配達依頼ができるのは、利用者にとっては非常にありがたいサービスといえます。

しかしその手軽さゆえに、配達員にかかる負担を考慮せず、何度も再配達を依頼する利用者がいることも事実です。

再配達問題が与える影響

ここでは、再配達問題が与える影響を、下記3つの観点から解説します。

  • ドライバーへの労力・負担が増える
  • 労働生産が下がり運送会社の負担が増える
  • CO2排出量の増加

ドライバーへの労力・負担が増える

1回の配達で荷物を届けられず再度配達する場合は、同じ道を行ったり来たりするなど、ドライバーの体力面に負担がかかります。

また、個人事業主で軽貨物ドライバーとして働いている場合は、再配達をしても1件分の配送料しか支払われません。おまけに、再配達するためにかかるガソリン代も自己負担です。

手間や労力は増えても報酬額が増えず、手元に残る利益は減る、といったように、ドライバーへの負担が増えるのです。

同じところに配達するという2度手間があるにもかかわらず、軽貨物ドライバーの利益にならないという点が再配達の最大の問題点だと言えるでしょう。

労働生産が下がり運送会社の負担が増える

国土交通省が発表した「宅配の再配達の発生による社会的損失の試算について」を参考にすると、再配達が発生することで、下記の影響があると算出されています。

  • 約1.8億時間が1年間の不在配達に費やされている
  • 年間にすると9万人の労働力が失われている

運送会社にかかるコストは主に、「人件費」と「燃料費」です。送料無料と謳うネットショップは多く、再配達件数が増えることでかかるこれらのコストは、運送会社が負担することとなります。

また、運送会社の利益が減ることでドライバーに支払われる賃金も低下。低賃金となり収入面の待遇が悪くなることで生活が苦しくなり、ドライバーが辞めてしまうという悪循環も生まれるのです。

CO2排出量の増加

配達の回数が増えると、車両が走行する走行距離は長くなります。

国土交通省が発表した「宅配の再配達の発生による社会的損失の試算について」を参考にすると、再配達によるCO2排出量は、およそ418,271t。「杉の木のおよそ1億7,400万本の年間CO2吸収量」に相当すると算出されています。

再配達問題は、ドライバーや運送会社だけでなく、環境問題にも大きな影響を与えているのです。

再配達問題の解決策

悩む軽貨物ドライバーの男性

再配達率を減らすために、以下のようなさまざまな解決策が実施・考案されています。

  • 再配達の有料化
  • コンビニ受け取り・駅構内への受け取りBOX設置
  • 個人宅やマンションへの宅配BOX設置

再配達問題への対策についてそれぞれ紹介していきましょう。

再配達の有料化

解決策の1つ目としては、「再配達の有料化」が挙げられます。

これは、再配達にかかるコストを消費者側に負担してもらい、配達員や運送会社のコストを減らそうという考えです。

ただし、有料化を検討しているというだけで、正式に決まったわけではありません

再配達となるケースは、家に居たのにたまたま諸事情で受け取れなかったなど、運が悪かったという方もいると考えられます。

「1回の再配達は有料化すべきではない」「受取拒否をする人も増えるのではないか?」などの意見もみられるなど、さまざまな懸念点があるのも事実です。

有料化になると消費者側に新たなデメリットが生まれることから、まだまだ別の改善余地があると考えられます。

アプリを活用し自宅の宅配BOXに配達してもらう

個人のお宅やマンションに宅配BOXを設置するという方も増えてきています不在時にも荷物を置いておいてもらえることで、帰ってきたら荷物を受け取れるので便利です。

運送会社の中には、スマートフォンアプリを活用して再配達を防ぐ取り組みをしているところもあります。

例えば、ヤマト運輸株式会社が提供している「ヤマト運輸のクロネコメンバーズ」や「ヤマト運輸公式アプリ」に登録すると、事前に配達予定を通知し、自宅に設置している宅配BOXに荷物を配達してもらうよう設定できます。

しかし、戸建て住宅などに宅配BOXを設置する場合は、盗難や紛失、破損の可能性もゼロではありません

また近年では宅配BOXがなくても、玄関先に荷物をおいたことで宅配が完了する「置き配」というサービスも広まっています。

置き配にも盗難や紛失、破損といった問題点があります。

これらの課題が解決できたときには、さまざまなライフスタイルに対応できる利便性の高さから、メジャーな配達方法へと進化してくのではないでしょうか。

コンビニ受け取り・駅構内への受け取りBOX設置

指定のコンビニや受け取りBOXに、荷物を配達してもらうというサービスも提供されています。

再配達の手間を防ぐため、コンビニや駅構内に設置されている受け取りBOXも活用されています。なかには、配送料を無料にしたり安くしたりするサービスも提供されています。

例えば、受け取りBOXだと、日本郵便の「はこぽす」や、ヤマト運輸・佐川急便などの「PUDOステーション」などが挙げられます。

受け取り主側は、自宅や職場近くのコンビニで受け取りをするという形にすることで、急いで帰宅したり都合を合わせたりする必要がありません。

さらに配達員側も、指定のコンビニや受け取りBOXに荷物運べば良いため、効率よく配送できるというメリットがあります。

不在による再配達も無くなる上、時間関係なく駅で受け取ってそのまま持って帰ることができるため、軽貨物ドライバーと受け取り手の両者にとってメリットがあります

再配達問題の解決は受け取り側の意識を変えていく必要がある

再配達問題には、配達員や運送会社、環境など多方面にさまざまな影響があります。

原因を解決するために、宅配BOXやアプリの活用、置き配の利用など、受け取り主側の対応や意識改革は必要不可欠といえるでしょう。

今後も再配達問題を解消するためにさまざまな技術が生まれたり、対応策が講じられたりする可能性が高いです。

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